海外在住者で日本の年金受給を受けている人もいることでしょう。
しかしながら、海外在住者の多くは年金受給前の現役世代であり、周りに受給年齢に達した方は少ないかも知れません。
以下ご参考になりましたら、幸いです。
年金受給の条件
日本の年金は合計10年間(120ヶ月)納付している人には受給資格が生じます。
「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」(平成28年法律第84号)が平成28年11月24日に公布され、平成29年8月1日に施行
支給時期の確定
受給の開始に際しては、その意思を明確にする必要があります。
65歳の誕生日を迎える年金受給の権利を持つ人に、年金機構から郵便物が届きます。
選択は4つ(既に60歳から繰り上げ受給を開始している人を除く)
- 老齢基礎年金、老齢厚生年金 双方受給希望
- 老齢基礎年金受給希望、老齢厚生年金繰り下げ希望
- 老齢基礎年金繰り下げ希望、老齢厚生年金受給希望
- 老齢基礎年金、老齢厚生年金 双方繰り下げ希望
- 知られていないのは、厚生年金分の受給がある人が、国民年金分と受給時期を2つに分けることが可能なこと。
- 繰り下げ受給は最初の年は1年間単位、その後は1ヶ月単位で設定可能。
- 海外に住む人(住民票が海外の人)、かつ受給が年間114万円を超える人は、源泉徴収免除のため、別途書類を出す必要があります。
- 誕生日から1年を超えて、意思表示を示していない方は、別途異なる書面で年金受給の手続きを行わなければならないので要注意。
No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)|国税庁
未納期間の補填方法
なお、海外在住者の年金保険料の納付は任意となります。
そのために日本の年金保険料を払っていない方も多いようです。
未納分の年金保険料納付は遡って2年間、加えて60歳を超えて65歳までの5年間納付可能です。
少しでも支給年額を加算したい方、納入期間(任意期間含む)は10年間未満の方は、一考していいかも知れません。
海外在住者の意識と日本の制度の特徴
海外で会う日本人の中で、(日本の給与から天引きされる駐在員を除くと)他でも老後のために資産運用している人は、日本の国民年金もきちんと払っているようです。
国民年金の支給のみで生活していくのは無理なのは明白な事実ながら、プラスαのお小遣いと考えて、保険料を支払っていくことも考えていいかも知れません。
なお、日本の年金は知らないともらえるはずのものを申請していないなどのケースも生じます。
年金機構のウェブサイトをよく読み、わからないものは年金事務所に足を運んで質問して聞いていく手間が必要です。
日本の制度について、総合的に言えるのは、自分で調べて関係部署に聞きに行く重要性(調べたうえで聞かないとわからないことが多いため)。
複雑な日本の公的年金制度ですが、自分から疑問点は質(ただ)さないと、誰も教えてはくれません。
年金事務所の対応ですが、個々人によって知識の差はありますが、スタッフの皆さんは概して親切丁寧であること(例外はいます)。
年金相談は事前予約のため、わからないことを聞きにいく場合には、早めにアポイントを取ること、あらかじめご自身が疑問に思っていることを自分なりに調べておくことをお勧めいたします。